● 円形脱毛症

円形脱毛症は、ある日突然、頭に円形のハゲが生じる疾患です。脱毛部分は1ヶ所とは限らず、複数箇所におよぶこともあり、全ての頭髪が抜けたり、全身の毛が抜けたりすることもあります。痛みなどはありません。
円形脱毛症は性別や年齢を問わず起こりますが、小児や若い成人に特に多くみられます。
円形脱毛症の原因についてはさまざまな説がありますが、現在では「髪の毛根組織に対して免疫機能の異常が発生する」という、自己免疫疾患とする説が有力です。
免疫機能の異常を発生させる要因としては、疲労や感染症などの肉体的・精神的なストレスやアトピー性疾患を持っているなどの体質的な素因があります。




円形脱毛症の治療

円形脱毛症の治療方法は、大きく分けて外用療法・内服療法・新しい治療薬の3つの方法があります。

外用療法

ステロイド外用薬
炎症や免疫機能を抑える効果のある塗り薬です。
一般的な治療法として多くの皮膚科で採用されており、豊富な治療実績があります。

塩化カルプロニウム外用薬(フロジン液)
市販の育毛剤にも含まれている成分で、血流を改善し、発毛効果が認められています。
発毛効果の検証が不十分とされていますが、国内で膨大な診療実績があります。


内服療法

セファランチン
アレルギー反応を抑制する作用や、血流を促進する作用などがある治療薬です。
脱毛斑の縮小の根拠は薄いとされていますが、国内での診療実績も多いため、他の治療と共に併用されます。

グリチルリチン
炎症やアレルギーを抑える作用がある治療薬です。
科学的な検証は不十分ではあるものの、国内で多くの診療実績があります。

抗ヒスタミン薬
アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー症状を緩和する治療薬です。
脱毛範囲の縮小が認められています。


新しい治療薬

オルミエント®
円形脱毛症を引き起こす原因の一つに、「サイトカイン」という物質が過剰に働くことで、免疫細胞が毛穴を攻撃することが知られています。
オルミエント®はその「サイトカイン」を抑えることで、毛穴を攻撃している免疫反応を取り除いて、髪の毛を生えやすくします。
「サイトカイン」のみならず、免疫細胞そのものの働きも抑えます。
内服後、早ければ数か月後には髪の毛が生え始めますが、半年以上の時間がかかる場合もあります。
効果には個人差がありますので、その人に合った治療方法を選択することが大切です。
2022年に円形脱毛症での保険適応が認められました。
15歳以上で頭部全体の50%以上の毛髪が脱毛し、6か月以上発毛が診られない重症円形脱毛症の方が治療の対象となります。

リットフーロ®
2023年保険適用になったJAK阻害薬です。オルミエント同様に「頭部全体の50%以上に脱毛が認められ、過去6か月以上、毛髪の自然再生が認められない患者に投与すること」となっています。
リットフーロは円形脱毛症の病態に関与する「サイトカイン」の働きを強力に抑制することで治療効果を発揮します。
12歳以上で頭部全体の50%以上の脱毛が6カ月以上続いている方を対象です。
オルミエント®とリットフーロ®の大きな違いとして期待できるのが、12歳から使用可能という点と、オルミエントは、JAK1/JAK2の阻害薬で、リットフーロはJAK3/TECファミリーキナーゼの阻害薬であることです。







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